クリニックのMEO対策|広告規制を踏まえた進め方
クリニックのMEO対策は、順位の考え方は他業種と同じでも、医療法の広告規制が前提になります。ビジネスプロフィールのどこが広告に当たるのか、体験談や口コミの扱い、自由診療で必要な情報の範囲を、厚生労働省の指針をもとに整理します。

- ローカル検索の順位要因は他業種と同じで、医療機関だけの特別な要因は公表されていない
- 医療機関が管理するビジネスプロフィールの記載は、医療法の広告規制の対象になりうる
- 患者の主観に基づく体験談を医療機関が広告として掲載することは、規則で禁止されている 監修者名: 記入をお願いします(医療広告ガイドラインに関する記述があるため、医師または医療広告に詳しい専門家の監修が必要です)
「近くの内科」で上位に出したい。写真を増やしたい。患者さんの声を載せたい。クリニックのMEOの相談は、たいていこの3つから始まります。
順位そのものの考え方は、飲食店でも美容室でもクリニックでも変わりません。Googleが公表している要素は同じです。違うのは、医療機関には医療法にもとづく広告規制がかかることです。ウェブサイトや、医療機関が管理する情報発信も規制の対象に含まれます。
つまりクリニックのMEOは、順位の話と広告規制の話を同時に扱う必要があるということです。ここを分けて考えないと、順位は上がったが指導を受ける、という結果になりかねません。
順位の要因は、他の業種と同じ
Googleは、ローカル検索結果の掲載順位が「関連性」「距離」「知名度」の3つで決まると説明しています。医療機関だけに適用される別の要因が公表されている資料は確認できません。
| 要素 | 意味 | クリニックでの見え方 |
|---|---|---|
| 関連性 | 検索語句とビジネスプロフィールが合致する度合い | 診療科目のカテゴリ設定、診療内容の記載 |
| 距離 | 検索しているユーザーから各拠点までの距離 | 商圏の外からの流入は構造的に難しい |
| 知名度 | ビジネスがどれだけ広く知られているか。リンクやクチコミにもとづく | 口コミの蓄積、他サイトからの言及 |
Googleが挙げている改善方法も一般的なものです。オーナー確認を済ませる、情報を正確に保つ、営業時間(特別営業時間を含む)を入れる、口コミに返信する、写真や動画を追加する。医療機関だからといって、ここに特別なテクニックがあるわけではありません。
私たちが支援した範囲では、クリニックで効果が見えやすかったのは、診療時間と休診日の正確さ、それから電話番号が拠点に直接つながっているかという、地味な部分でした。予約や問い合わせが目的の検索が多いぶん、情報のずれがそのまま機会損失になります。
どこからが「広告」になるのか
医療法の広告規制は、平成30年6月1日施行の改正で、ウェブサイト等による情報提供も対象に含まれるようになりました。判断の軸になるのは、その表示が医療を受ける者を誘引するための手段にあたるかどうかです。
厚生労働省の事例解説書では、誘引を目的とする表示が広告と判断されるとされています。ここから整理すると、次のようになります。
| 対象 | 広告規制との関係 | 注意点 |
|---|---|---|
| 医療機関が管理するビジネスプロフィールの記載 | 医療機関自身の表示であり、規制の対象になりうる | 診療内容、写真、投稿、サービス欄すべてが対象 |
| 第三者が自発的に書いた口コミ | 医療機関が関与していなければ、誘引性がなく広告に当たらない | 医療機関が依頼して内容を編集・削除・並べ替えさせた場合は該当する |
| 医療機関による口コミへの返信 | 医療機関自身の表示にあたる。編集部の整理では規制の対象と考えるのが安全 | 効果や体験に踏み込んだ返信は避ける(この点は監修者の確認が必要です) |
事例解説書には、口コミサイトについて次のように書かれています。医療機関からの依頼によって、サイトの運営者が体験談の内容を改編したり、否定的な体験談を削除したり、肯定的な体験談を優先的に上部に表示するなど、体験談を医療機関に有利に編集している場合は、医療広告に該当し禁止される広告になる、というものです。
口コミそのものが規制されているのではなく、医療機関の関与のしかたが問われているという構造です。ここを取り違えると、「口コミを集めること自体がだめなのでは」という誤解につながります。
医療機関が避けるべき表示
規制上、禁止されている広告として厚生労働省が挙げているものに、次があります。
- 患者等の主観に基づく体験談の広告(医療法施行規則第1条の9第1号)
- 治療の内容や効果について、ビフォーアフター写真等で誤認させるもの
- 他院との比較優良広告
- 誇大広告
事例解説書では、体験談について、医療機関のスタッフが書いた患者の体験談、患者の直筆アンケートを加工して転載したもの、医師による症例紹介に患者の主観的な感想を含めたものも規制の対象になるとされています。
ビジネスプロフィールに置き換えると、次のような運用が問題になりえます。
- 「患者様の声」として口コミの文面を写真や投稿に転載する
- 施術前後の写真を、説明なしに並べて掲載する
- 「地域No.1」「最新の治療」など、客観的な裏づけを示せない表現を使う
- 高評価の口コミだけを集めるよう、業者に依頼して並べ替えや削除をさせる
このうち4は、医療広告としての問題に加えて、口コミプラットフォーム側の規約にも触れます。Googleはガイドラインに違反したプロフィールへのアクセスを停止する場合があるとしています。
自由診療を扱うなら、限定解除の要件を満たす
広告できる事項は原則として限定されていますが、一定の要件を満たすと、その限定を解除できます。事例解説書に示されている要件は次の4つです。
- 医療に関する適切な選択に資する情報であって、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
- 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会できるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
- 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
- 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
自由診療をビジネスプロフィールで打ち出す場合、費用やリスクをその場に書き切れないことがあります。要件を満たした自院サイトのページへ導線を引き、プロフィール側では踏み込みすぎないという設計が現実的です。どこまで書けるかは診療内容によって変わるため、監修者と一緒に線を引いてください。
クリニックがまず着手する順番
順位対策としてやることは、広告規制に触れない範囲でも十分に残っています。次の順で進めるのが手戻りが少ない進め方です。
- オーナー確認を済ませる — 情報の編集も口コミ返信も、ここが前提になります
- カテゴリを診療の実態に合わせる — 中核事業に当てはまるものを、できるだけ少なく選びます
- 診療時間・休診日・特別営業時間を正確にする — 年末年始や学会休診も入れます
- 電話番号を拠点直通にする — 予約導線の途切れがいちばんの損失です
- 写真は院内・外観・設備を中心にする — 症例写真は広告規制の対象になるため、掲載可否を監修者に確認してから
- 口コミへの返信を運用に組み込む — 効果や治療内容に踏み込まず、来院への謝意と事実の確認にとどめる
口コミを増やしたい場合、依頼のしかたにも注意が必要です。謝礼や割引と引き換えに口コミを依頼すると、医療機関が関与した表示と評価される可能性があるほか、景品表示法上の問題にもつながります。この点は別記事で扱います。
よくある質問
クリニックでもGoogleの口コミを集めてよいのですか
第三者が自発的に書いた口コミは、医療機関が関与していなければ広告に当たらないとされています。問題になるのは、医療機関の依頼で内容を編集させたり、否定的な口コミを削除させたり、有利な並べ替えをさせる場合です。集めること自体が禁じられているわけではありませんが、依頼のしかたには注意してください。
口コミに返信するのは問題ありませんか
返信は医療機関自身の表示にあたるため、編集部としては広告規制の対象と考えるのが安全だと整理しています。この点について明確に述べた公的な資料は確認できていません。治療の効果や内容に踏み込まず、来院への謝意や、事実関係の確認にとどめる運用が無難です。掲載前に監修者の確認を受けてください。
「患者様の声」をビジネスプロフィールに載せられますか
患者等の主観に基づく体験談の広告は、医療法施行規則で禁止されています。医療機関のスタッフが書いたものや、アンケートを加工して転載したものも対象とされています。ビジネスプロフィールの投稿や写真に転載する運用は避けてください。
施術前後の写真は使えますか
治療の内容や効果について誤認させるビフォーアフター写真は、禁止される広告として挙げられています。掲載できる場合でも、通常必要とされる治療内容、費用、主なリスクや副作用の情報を示すなどの要件があります。個別の可否は診療内容によって変わるため、監修者に確認してください。
医療機関だけに効くMEOの手法はありますか
Googleがそのように述べている資料は確認できません。公表されている順位要因は関連性・距離・知名度の3つで、業種による区別は示されていません。診療時間の正確さや電話番号の整備といった基本の精度を上げるほうが、確認できる範囲では現実的です。
本記事の手順・仕様は2026年9月時点のものです。Googleの仕様は変更されることがあります。
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