MEOのKPI設計|順位だけを追ってはいけない理由と指標の選び方
MEOの報告書で、順位の推移表だけが並んでいるものをよく見ます。先月3位、今月5位。では売上はどう動いたのか、という問いには答えられない形式です。 順位をKPIに据えると、測った場…

目次 5 SECTIONS
- Googleは順位を関連性・距離・知名度の3要素で決めるとしており、距離は店舗側で動かせない
- 順位は検索した人の位置によって変わるため、単独のKPIには向かない
- パフォーマンス指標は定義と更新タイミングが指標ごとに違うので、KPIにする前に定義を確認する
MEOの報告書で、順位の推移表だけが並んでいるものをよく見ます。先月3位、今月5位。では売上はどう動いたのか、という問いには答えられない形式です。
順位をKPIに据えると、測った場所によって数字が変わり、改善したのか環境が変わったのかを切り分けられません。そして順位が上がっても来店が増えていない、という報告を説明できなくなります。
ここでは、Googleが順位について何を公表しているのかを確認したうえで、ビジネスプロフィールのパフォーマンス指標の定義を押さえ、KPIをどう組み立てるかを整理します。
順位をKPIに置くと何が起きるのか
Googleは、ローカル検索結果の順位が主に3つの要素で決まるとしています。
| 要素 | Googleの説明 | 店舗側で動かせるか |
|---|---|---|
| 関連性 | 「検索語句とビジネス プロフィールが合致する度合いを指します」 | 動かせる(情報の正確さ・充実度) |
| 距離 | 「検索しているユーザーから各ビジネス拠点までの距離を指します」 | 動かせない |
| 知名度 | 「ビジネスがどれだけ広く知られているかを指します」 | 間接的に動かせる |
問題は距離です。距離は検索した人の現在位置で決まるため、同じキーワードでも、駅前で検索した人と住宅街で検索した人では順位が変わります。「自店の順位」という単一の値は、本来存在しません。計測ツールが出す順位も、特定の地点を仮定した値です。
さらにGoogleは「検索アルゴリズムの詳細は、すべてのユーザーにとって可能な限り公平なランキング システムを構築するために機密情報となっています」としており、「ランキングを上げるためのリクエストや金銭の受け取りには一切応じておりません」とも明記しています。順位は、仕様が公開されていない指標です。
順位をまったく見ないという話ではありません。関連性の施策が効いたかを見る先行指標としては使えます。使い方を間違えないために、KPIの階層を分けておく必要があります。
KPIに使える指標とその定義
ビジネスプロフィールのパフォーマンス機能で確認できる指標は、ヘルプに定義が書かれています。KPIにする前に、この定義を読んでおくかどうかで報告書の精度が変わります。
| 指標 | ヘルプの定義 | KPIとして使うときの位置づけ |
|---|---|---|
| 閲覧数 | 「Google 検索と Google マップでお客様のビジネス プロフィールを閲覧したユーザーの数」 | 露出の量。中間指標 |
| 通話数 | 「ビジネス プロフィールの通話ボタンがクリックされた回数」 | 行動指標。電話商売では主KPI候補 |
| ルート | 「お客様のビジネスへのルートを検索したユーザーの数」 | 来店意向に最も近い行動指標 |
| ウェブサイトのクリック | 「ビジネス プロフィールに表示されたウェブサイトへのリンクのクリック数」 | サイト側の計測と接続できる |
| メッセージ | 「メッセージで交わされた会話の数」 | 行動指標。運用体制が必要 |
| 予約 | 「ユーザーが完了した予約の数」 | 成果指標に最も近い |
| 検索 | 「ビジネスの検索に使用された検索語句です」 | 施策の方向を決める材料。KPIではない |
指標を読むときに外しやすい点
ヘルプには、数字の解釈を誤らせやすい注意書きが並んでいます。KPIの定義書に書き写しておく価値があります。
- 閲覧数は表示回数より少なくなる。 ユニークユーザー単位で集計され、1日1回のみカウントされるためです。複数デバイスからのアクセスにも上限があります。
- 検索語句のデータは毎月月初に更新され、反映までに5日ほどかかる場合がある。 月初に先月分を即日で見られる前提でレポートを組むと、締め日に間に合いません。
- ルートはユニークユーザー数の算出方法が変更されている。 複数回のタップ、ルート検索のキャンセル、スパムを考慮するための変更です。過去との単純比較には注意が必要です。
- 通話数を追跡するには電話番号の追加が必要。 設定していない期間は計測されません。
- 予約データを取得するには、予約プロバイダ経由で予約を管理する必要がある。 電話予約が中心の店舗では、この指標は使えません。
- 商品の閲覧数は店舗で販売される商品のみで、オンライン販売分は含まれない。
すべてのプロフィールで全指標が使えるわけではありません。表示されるのはそのビジネスに関連する指標のみです。
これらは、数字が動いた理由を外部要因と施策に切り分けるための前提です。前提を共有せずに前月比を出すと、仕様変更を成果として報告してしまいます。
KPIの組み立て方
次の順で決めます。先に指標を選ぶのではなく、先に成果の定義を決めるのが要点です。
- 成果を1つ決める。 来店、予約、問い合わせのうち、売上に直結するものをひとつに絞ります。
- 成果に最も近い指標をKPIに置く。 予約が成果なら予約数、来店が成果ならルート、電話商売なら通話数です。
- その手前の指標をKPIの補助に置く。 閲覧数とウェブサイトのクリックです。KPIが動かないときに、露出の問題か行動の問題かを切り分けられます。
- 順位と検索語句は施策の判断材料に回す。 目標値を置かず、関連性の施策が効いたかを見る材料として扱います。
- 計測の前提を明文化する。 計測地点、集計期間、指標の定義、設定していない機能を書き添えます。
- レポートをダウンロードして原本を残す。 ビジネス プロフィール マネージャーの「操作」から「インサイト」を選び、期間を指定してレポートをダウンロードできます。複数プロフィールを1つのスプレッドシートに出力することもできます。
私たちが支援した範囲では、KPIを1つに絞った店舗のほうが打ち手の判断が速くなっています。指標を5つ並べた報告書は、どれも少し動くために「で、どうするか」が決まりません。ただしこれは経験則で、指標の数と成果の因果を検証したデータではありません。
順位をどう扱うか
順位は、記録はするが目標値は置かない、という扱いが現実的です。記録するときは、計測した地点・キーワード・日時を必ず一緒に残してください。地点が書かれていない順位データは、翌月の比較に使えません。
よくある質問
順位が上がったのに来店が増えないのはなぜですか
順位は特定の地点を仮定した値であり、実際に検索している人の位置はばらついています。計測地点での順位が上がっても、来店客が多い地点での表示が変わっていない可能性があります。また、表示されても選ばれるかは別の要素です。閲覧数とルート・通話数を並べて、露出が増えたのか行動が増えたのかを切り分けてください。
KPIは何個が適切ですか
成果に最も近い1つを主KPIとし、その手前の指標を2つ程度まで補助に置く形が扱いやすいです。Googleが適切な個数を示しているわけではないため、これは運用上の目安です。
閲覧数が減ったのに通話数が増えています。どう解釈すればよいですか
閲覧数は露出の量、通話数は行動の量です。表示される回数が減っても、より意図の近い検索で表示されていれば行動は増えます。検索語句のデータを合わせて見ると方向が見えます。ただし検索語句は毎月月初の更新で、反映に5日ほどかかる場合があります。
前月比で報告してよいですか
指標ごとの注意点を添えるなら使えます。特にルートはユニークユーザー数の算出方法が変更されているため、変更をまたぐ期間の単純比較は避けてください。曜日の並びや祝日の位置でも動くため、複数月の推移と併記するほうが安全です。
本記事の手順・仕様は2026年10月時点のものです。Googleの仕様は変更されることがあります。
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