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ステマ規制と店舗の口コミ運用|依頼・特典・引用の線引き

「口コミをお願いするのは、ステマになるのか」という質問を受けることが増えました。多くの場合、答えは「依頼そのものは問題になりにくいが、内容に口を出した時点で扱いが変わる」です。 こ…

目次 7 SECTIONS
この記事の結論
  • 規制の対象は事業者であり、依頼を受けて投稿した第三者は対象にならない
  • 投稿内容を指定した時点で「事業者の表示」となり、広告である旨の明示が必要になる
  • 景品表示法で問題がなくても、Googleのポリシーでは禁止されている依頼方法がある

「口コミをお願いするのは、ステマになるのか」という質問を受けることが増えました。多くの場合、答えは「依頼そのものは問題になりにくいが、内容に口を出した時点で扱いが変わる」です。

この線引きは感覚では引けません。消費者庁が告示と運用基準、Q&Aという形で判断の材料を公開しているので、そこに沿って整理するのが確実です。ここでは、店舗が現場でやりがちな行為を、規制の2つの要件に当てはめて見ていきます。

なお、この記事は法令の条文と行政の公表資料をもとにした一般的な整理です。個別の運用が適法かどうかは、最終的に弁護士等の確認を受けてください。

ステマ規制は何を禁じているのか

景品表示法第5条第3号にもとづく指定告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が令和5年3月28日に公表され、令和5年(2023年)10月1日から施行されています。

対象になるのは、次の2つをどちらも満たす表示です。

要件内容
①事業者の表示であることその表示の内容を、事業者が決定していると認められること
②一般消費者が判別することが困難であること広告・宣伝であると、一般の消費者が見て分からないこと

重要なのは、規制の対象が事業者だけだという点です。消費者庁は「企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません」と説明しています。投稿した個人が責任を問われる制度ではなく、依頼した事業者側の問題として扱われます。

裏を返すと、店舗が「お客様が勝手に書いたことなので」と説明しても、依頼や対価の実態があれば店舗の表示として評価されます。

どこからが「事業者の表示」になるのか

運用基準は、事業者が第三者に表示を行わせた場合について、明示的な指示がなくても、事業者と第三者の間に「第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性」があれば事業者の表示になるとしています。

判断の材料として挙げられているのは次の3点です。

  • やり取りの態様・内容(メール、口頭など)
  • 対価の内容と、それが提供された理由
  • 過去・将来にわたる対価提供関係の継続性

店舗の現場に当てはめると、次のように整理できます。

店舗がやること扱い根拠
会計時に「よければ口コミをお願いします」と声をかける(内容の指定なし)通常は事業者の表示にあたらない投稿内容について情報のやり取りがなく、投稿者が自主的に内容を決めていると認められる場合
口コミ投稿を条件に割引を提供する(内容の指定なし)通常は事業者の表示にあたらないQ&A:投稿内容についての指示がなければ通常は該当しない
「星5でお願いします」と評価を指定する事業者の表示にあたるQ&A:表示(投稿)の内容を決定しているといえるため
例文を渡して、そのとおり投稿してもらう事業者の表示にあたる内容を事業者が決定しているため
アンケートの「良い点」だけを抜き出して掲載する事業者の表示にあたるQ&A:良い点の部分だけを引用する場合は該当する
販売促進が職務のスタッフが、客を装って投稿する事業者の表示にあたる運用基準:従業員による販売促進目的の表示

境目は「対価を渡したかどうか」ではなく、内容を誰が決めたかにあります。割引やクーポンを渡しても、何を書くかを投稿者が自分で決めているなら、通常は事業者の表示になりません。逆に、一円も渡さずに例文だけ渡すと、事業者の表示になります。

誤記の修正を頼むのは問題か

運用基準の注釈では、投稿内容に誤記があり社会的評価を低下させるおそれがある場合に、修正を依頼するだけでは事業者の表示にはならないとされています。事実と違う点の訂正を求めることと、内容を有利に書き換えさせることは別の行為です。

表示が必要な場合、どう書けば足りるのか

①を満たしてしまった場合でも、②を満たさなければ、つまり広告だと分かる状態にすれば、規制の対象にはなりません。

運用基準が明瞭な例として挙げているのは、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった文言による表示や、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった具体的な説明です。

一方、次のような書き方は明瞭でないとされています。

  • 末尾の目立たない位置に記載する
  • 周囲の文字より著しく小さく表記する
  • 大量のハッシュタグの中に埋もれさせる
  • 一般消費者が認識できないほど短い時間しか表示しない
  • 冒頭に「広告」と書きながら、文中で「第三者の感想」と書くなど矛盾させる

所属を書けば足りる、という理解は誤りです。Q&Aは、所属の明示だけでは不十分で、広告であることが分かる文言が必要だとしています。

景品表示法とGoogleのポリシーは別のルール

ここが実務で最も抜けやすい点です。景品表示法で問題にならない行為でも、Googleのポリシー違反になることがあります。

Googleの「禁止または制限されているコンテンツ」は、クチコミの投稿や否定的なクチコミの修正・削除と引き換えに、金銭的報酬・割引・無料の商品やサービスなどのインセンティブを提供する行為を禁じています。また、従業員に一定件数の獲得を求めることや、スタッフ名など特定の内容を含めるよう求めることも認めていません。利益相反にあたる投稿は、開示の有無にかかわらず禁止とされています。

行為景品表示法Googleのポリシー
内容を指定せず、投稿を条件に割引を渡す通常は問題にならない禁止(インセンティブの提供にあたる)
内容を指定せず、声かけだけで依頼する通常は問題にならない問題にならない
スタッフに月10件の獲得を求める内容の指定がなければ直ちには該当しない禁止
従業員が自店に口コミを投稿する販売促進目的なら事業者の表示禁止(利益相反)

したがって、Googleマップの口コミについては、特典を渡す方式はそもそも選択肢から外すのが安全です。景品表示法の範囲だけで判断すると、プロフィールの制限という別の損失を招きます。

自店の口コミ運用を点検する手順

  • 依頼の場面をすべて書き出す(会計時、レシート、POP、メール、SNS、来店後の連絡)
  • それぞれについて、何を書くかを店舗側が示していないかを確認する
  • 特典・割引・サービスと引き換えになっている経路がないかを確認する
  • スタッフに件数や内容の指示が出ていないかを確認する
  • 自社サイトやチラシに載せている「お客様の声」が、良い点だけの抜粋になっていないかを確認する
  • 抜粋している場合は、事業者による編集・掲載である旨を分かる形で書く

5と6は見落とされがちです。口コミサイトへの投稿だけでなく、自社の掲載物も規制の射程に入ります。

よくある質問

口コミをお願いすること自体が違法になりますか

依頼そのものが直ちに違法になるわけではありません。消費者庁のQ&Aでは、投稿内容についての指示がなければ、通常は「事業者の表示」に当たらないとされています。問題になるのは、評価や文面を指定した場合です。ただしGoogleマップの口コミについては、特典と引き換えにする依頼方法がポリシーで禁止されている点に別途注意が必要です。

投稿してくれたお客様が罰せられることはありますか

ステマ規制の対象は事業者です。消費者庁は、依頼を受けて投稿した第三者は規制の対象にならないと説明しています。ただし、投稿がプラットフォームの規約に反する場合、投稿の削除やアカウントへの措置が行われる可能性はあります。

「PR」と書けば何を書いてもよいのですか

表示であることが分かるようにすることと、書かれた内容が正しいことは別の問題です。「PR」の記載があっても、商品やサービスの内容について実際より著しく優良だと示す表示は、優良誤認表示として別途問題になり得ます。表記の位置や大きさについても、末尾の目立たない場所や極端に小さい文字は明瞭でないとされています。

アンケートの回答をホームページに載せるのは問題ありませんか

回答をそのまま載せる場合と、都合のよい部分だけを抜き出す場合で扱いが変わります。消費者庁のQ&Aでは、好意的な回答だけを選別する場合や、良い点と悪い点のうち良い点の部分だけを引用する場合は「事業者の表示」に当たるとされています。その場合は、事業者が編集して掲載している旨が分かる表示が必要です。

本記事の手順・仕様は2026年9月時点のものです。Googleの仕様は変更されることがあります。

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LocalBuzz Magazine編集部

編集長

店舗集客・MEO・口コミマーケティングを中心に、LocalBuzzマガジンの企画・編集を担当。 Googleマップや口コミ、SNS、LINEなど、店舗ビジネスを取り巻く集客手法について、「店舗運営者が実際に使える情報」を軸に情報を発信しています。 飲食店、美容サロン、クリニック、小売店をはじめとした店舗ビジネスの事例や最新動向をリサーチし、専門的になりがちなMEOやデジタルマーケティングの情報を、できるだけわかりやすく解説することを心がけています。 「口コミを、最高の広告にする。」をテーマに、地域で選ばれる店舗づくりに役立つ情報をお届けします。 担当領域 MEO/Googleビジネスプロフィール/口コミマーケティング/店舗集客/LINE・CRM/SNS活用

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