AIで口コミ文を作るのは規約違反か|ポリシーと法令の線引き
生成AIが業務に入ってきてから、「口コミまわりでAIをどこまで使ってよいのか」という質問が一気に増えました。返信文の下書き、依頼文の作成、そして口コミ本文そのもの。同じ「AIで書く…

目次 6 SECTIONS
- Googleのポリシーは実体験に基づかない投稿を禁じており、判断基準は執筆にAIを使ったかどうかではない
- 店舗が口コミの文面を用意して投稿させる行為は、AIの利用有無にかかわらず認められない
- 口コミへの返信は店舗自身の発言であり、AIの利用を直接禁じる記述はGoogleの公開資料では確認できない
生成AIが業務に入ってきてから、「口コミまわりでAIをどこまで使ってよいのか」という質問が一気に増えました。返信文の下書き、依頼文の作成、そして口コミ本文そのもの。同じ「AIで書く」でも、規約上の扱いはまったく違います。
結論から言うと、Googleのポリシーは執筆にAIを使ったかどうかでは線を引いていません。見ているのは、その投稿が実体験に基づいているかどうかです。ここを取り違えると、「AIを使わなければ安全」という誤った安心につながります。
Googleのポリシーは何を禁じているのか
Googleマップのユーザー投稿コンテンツに関するポリシー「禁止または制限されているコンテンツ」は、偽のエンゲージメントとして「実体験に基づいていないコンテンツや、対象の場所や商品を正確に表現していないコンテンツ」を禁じています。あわせて、一人の依頼で複数のアカウントから投稿する行為や、ツールを使ってエンゲージメントを人為的に操作する行為も挙げられています。
もうひとつが利益相反です。ポリシーは、現在または過去の雇用関係、契約関係や顧問関係、その他の職業上・個人的なつながりがある場合の投稿を挙げ、こうしたコンテンツは開示の有無にかかわらず禁止としています。「関係者だと書いておけば投稿してよい」という扱いにはなっていません。
インセンティブについては、クチコミの投稿や否定的なクチコミの修正・削除と引き換えに、金銭的報酬・割引・無料の商品やサービスを提供する行為が禁止されています。従業員に一定件数の獲得を求めることや、スタッフ名など特定の内容を含めるよう求めることも認められていません。
これらの条文を通して見ると、基準は「誰が文章を書いたか」ではなく「その体験が実在するか」「利害関係のない人の言葉か」に置かれていることが分かります。2026年9月時点で、生成AIの利用そのものを名指しで禁じた記述は、Googleの公開資料では確認できませんでした。ただし、確認できないことは許可されていることを意味しません。実体験に基づかない投稿は、生成手段を問わず禁止対象です。
3つのケースに分けて考える
「AIで口コミを作る」と一言で言っても、実際には別々の行為が混ざっています。分けて見ます。
| ケース | 内容 | ポリシー上の扱い |
|---|---|---|
| ①店舗が口コミ本文を作って投稿する・させる | 店舗側がAIで文面を生成し、自ら投稿するか、誰かに投稿してもらう | 実体験に基づかない投稿、または利益相反にあたり、禁止 |
| ②来店客が自分の体験をAIに整えてもらって投稿する | 実際に来店した人が、自分の感想の文章化にAIを使う | 実体験に基づく限り、これを禁じる記述は確認できない |
| ③店舗が口コミへの返信をAIで作る | オーナーからの返信文をAIで下書きする | 返信は店舗自身の発言であり、これを禁じる記述は確認できない |
①が危険な理由
①は、AIを使うかどうかとは無関係に、もともと認められていない行為です。体験していない人が体験したかのように書けば偽のエンゲージメントにあたり、店舗関係者が書けば利益相反にあたります。AIは作業を速くしただけで、違反の性質は変わりません。
むしろ、生成の手軽さによって件数が増えることで、パターンが検出されやすくなる面があります。ポリシー違反はプロフィールの制限や停止につながり得るため、獲得した口コミごと失う可能性があります。
②で気をつけること
来店客が自分の言葉をまとめる過程でAIを使うこと自体は、実体験に基づいている限りポリシーの禁止事項に直接あたる記述は見当たりません。
ただし、店舗がそこに手を出した瞬間に話が変わります。「この文面をAIで作ったので、これを貼ってください」と渡せば、内容を決定しているのは店舗です。ポリシー上は実体験に基づかない投稿に近づき、後述するとおり景品表示法の側でも扱いが変わります。
③は品質管理の問題
口コミへの返信は、店舗が自分の名前で発信するものです。第三者の意見を装う構造がないため、ポリシー上の論点は生じにくい領域です。
ここで実務上の問題になるのは規約ではなく品質です。事実確認をしないまま生成した返信は、来ていないサービスに謝罪したり、個別の事情に触れて個人情報を露出させたりします。私たちが支援した範囲では、返信にAIを使う場合でも、投稿前に人が読む工程を外した店舗ほど事故が起きやすい傾向がありました。
検索側のガイドラインも動いている
口コミの扱いは、Googleマップのポリシーだけの話ではありません。
Google検索セントラルのレビュースニペットに関するガイドラインには、偽のレビューや開示のないインセンティブ付きレビューをページや構造化データに含めてはならないとする記述があります。具体的には、商品やサービスの実体験に基づかないレビューと、金銭・割引・クーポン・無料商品などの利益と引き換えに書かれながらインセンティブを明瞭に開示していないレビューが挙げられています。
このガイドラインは、検索セントラルの更新履歴で2026年7月24日に追加されたものとして記録されています(2026年9月時点で確認)。自社サイトに口コミを転載して構造化データを付けている店舗は、Googleマップ側の運用だけでなく、自社サイト側の表示も点検対象になります。
景品表示法から見るとどうか
日本の店舗にとっては、こちらのほうが影響が大きい場合があります。
消費者庁のQ&Aは、口コミ投稿にあたって事業者が評価の内容を指定する場合について、表示(投稿)の内容を決定しているといえるため「事業者の表示」に当たると説明しています。運用基準も、明示的な指示がなくても、事業者と第三者の間に第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性があれば事業者の表示になるとしています。
AIで作った文面を店舗が用意して渡す行為は、まさに内容を決定している状態です。「事業者の表示」に該当し、広告であることが一般消費者に分からなければ、景品表示法上の問題になり得ます。
一方、来店客が自分で書く(その過程でAIを使う)ケースで、店舗と投稿内容について一切やり取りがなければ、通常は事業者の表示にはあたりません。分岐点は、AIを使ったかどうかではなく、文面に店舗が関与したかどうかです。
AIを使うなら、先に決めておくこと
- 口コミ本文の生成・提供は行わないことを、運用ルールとして明文化する
- 返信でAIを使う場合、生成した文章を必ず人が確認してから投稿する
- 返信に含めない情報を決める(来店日、施術内容、症状、氏名、予約の詳細など個人が特定され得る情報)
- 事実確認が必要な内容(提供していないサービスへの言及、金額、日時)は、現場に確認してから返信する
- 誰が最終確認するかを担当者レベルで決める
- 依頼文にAIを使う場合も、内容の指定や例文の提示になっていないかを点検する
よくある質問
AIで口コミ返信を作るのはポリシー違反ですか
2026年9月時点で、口コミへの返信に生成AIを使うことを禁じる記述は、Googleの公開資料では確認できませんでした。返信は店舗自身の発言であり、第三者の意見を装う構造がないためです。ただし、事実と異なる内容や個人が特定され得る情報を含めると別の問題が生じます。投稿前に人が確認する工程を必ず残してください。
来店したお客様にAIで作った例文を渡すのは問題ですか
問題になり得ます。文面を店舗が用意した時点で、内容を決定しているのは店舗です。消費者庁のQ&Aや運用基準に照らすと「事業者の表示」に当たると考えられ、広告であることが分からなければ景品表示法上の問題になります。Googleのポリシー上も、実体験に基づかない投稿に近づきます。依頼は、書く内容に触れない形にとどめてください。
AIで書いた口コミはGoogleに見分けられますか
Googleが検出の仕組みを公表していないため、どこまで判別されるかは分かりません。判別の可否にかかわらず、実体験に基づかない投稿はポリシーで禁止されており、違反はプロフィールの制限や停止につながる可能性があります。検出されるかどうかを基準に判断する運用は勧められません。
自社サイトに口コミを載せる場合も注意が必要ですか
必要です。Google検索セントラルのレビュースニペットのガイドラインは、偽のレビューや、開示のないインセンティブ付きレビューをページや構造化データに含めないよう求めています。また、好意的な内容だけを抜き出して掲載する場合は、消費者庁のQ&Aで「事業者の表示」に当たるとされています。掲載元と編集の有無が分かる形にしてください。
本記事の手順・仕様は2026年9月時点のものです。Googleの仕様は変更されることがあります。
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