医療機関のGBP運用代行に求められる要件|委託前の確認項目
Googleビジネスプロフィールの運用を外部に任せている医療機関は多くあります。困るのは、代行会社が書いた投稿や口コミ返信に問題が見つかったときです。行政指導の相手は代行会社ではな…

目次 7 SECTIONS
- 運用を委託しても、広告規制上の責任は広告主である医療機関に残る
- オーナー権限は医療機関が保持し、代行会社には管理者権限を付与する設計が基本
- 委託先の選定では、実績よりも医療広告等ガイドラインに沿った承認フローの有無を見る
Googleビジネスプロフィールの運用を外部に任せている医療機関は多くあります。困るのは、代行会社が書いた投稿や口コミ返信に問題が見つかったときです。行政指導の相手は代行会社ではなく、医療機関になります。
医療広告等ガイドラインは令和8年3月30日に最終改正されています。名称も「医療広告ガイドライン」から「医療広告等ガイドライン」に変わりました。委託中の契約が改正前の前提で書かれているなら、見直す機会にあたります。
ここでは、運用代行を検討する、あるいは現在の委託先を評価するときに確認する項目を整理します。実績数や料金より先に見るべきところがあります。
なぜ委託しても責任が残るのか
医療広告等ガイドラインは、広告に該当する要件として次を挙げています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 誘引性 | 患者の受診等を誘引する意図があること |
| 特定性 | 医業を提供する者の氏名または医療機関の名称が特定可能であること |
| 内容 | 医業または病院・診療所に関する内容であること |
ビジネスプロフィールは医療機関名のもとに公開され、受診を促す性質を持ちます。この3要件を満たす場面は十分にあります。
そして規制の名宛人は、表示を出した医療機関です。実際に文章を書いたのが代行会社であっても、その表示は医療機関の広告として扱われます。「業者に任せていた」は説明にはなりますが、責任の所在を移す理由にはなりません。
代行会社が踏みやすい3つの領域
| 領域 | ガイドライン上の扱い | 代行運用で起きること |
|---|---|---|
| 体験談 | 患者自身の体験や伝聞に基づく主観的な体験談は禁止 | 口コミの引用を投稿に転載する |
| 治療前後の写真 | 誤認のおそれがある術前術後の写真等は禁止。通常必要な治療内容・費用・リスク副作用の詳細説明が伴う場合は適用外 | 症例写真を説明なしで写真欄に追加する |
| 比較優良・誇大 | 「日本一」「No.1」等の最上級表現、他院との比較、事実を不当に誇張する表現は禁止 | 投稿で「地域No.1の実績」と書く |
写真の追加は代行運用でよく発生する作業です。院内設備や外観であれば問題になりにくい一方、治療結果を示す画像は、説明を伴わないかぎり禁止の対象になります。
口コミと体験談の切り分け
ガイドラインは、第三者が運営する口コミサイト等への体験談の掲載について、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼していないなど、誘引性が認められない場合は広告に該当しない、としています。
つまり、患者が自発的に書いた口コミそのものは広告ではないが、医療機関の側が関与した瞬間に扱いが変わる、という構造です。代行会社が口コミ獲得の施策を提案してきた場合は、ここを最初に確認する必要があります。
Google側のポリシーも重なります。Googleは、企業が提供する金銭的報酬・割引・無料の商品やサービスが誘因となった投稿を禁止し、雇用関係や契約関係にもとづく投稿を利益相反として制限しています。診察の場で患者に口コミを依頼する運用は、方法によってはどちらにも触れます。
委託前に確認する項目
次の7項目を、提案書ではなく契約前の質問として確認します。
| 確認項目 | 確認の仕方 | 問題のある回答の例 |
|---|---|---|
| 権限設計 | オーナー権限を医療機関が持つ形で契約できるか | 「弊社がオーナーとして管理します」 |
| 承認フロー | 投稿・返信の公開前に医療機関が確認する工程があるか | 「おまかせで運用します」 |
| 禁止表現の点検 | 医療広告等ガイドラインに沿ったチェックリストを持っているか | 「都度確認しています」(基準が示されない) |
| 口コミの集め方 | 謝礼・割引を伴う依頼をしない旨が明記されているか | 「口コミ獲得数を保証します」 |
| 写真の取扱い | 治療前後の画像を扱う基準があるか | 「症例写真で反響が出ます」 |
| 記録の保存 | 投稿履歴と変更履歴を医療機関側で確認できるか | 「レポートは月次で提出します」のみ |
| 契約終了時 | 権限とデータの返還手順が定められているか | 契約書に記載がない |
権限は医療機関が持つ
Googleビジネスプロフィールのユーザーには、オーナーと管理者の役割があります。Googleの説明では、オーナーはユーザーの追加と削除、プロフィールの削除ができ、管理者はそれ以外についてオーナーとほぼ同じ権限を持ちます。
したがって、実務上の運用に必要な作業(情報の更新、写真の追加、口コミへの返信、投稿の管理、パフォーマンスの確認)は、管理者権限で足ります。代行会社にオーナー権限を渡す必然性はありません。
委託の場面での設計は次のようになります。
- 医療機関の管理用アカウントをオーナーとして設定する
- 代行会社のアカウントを管理者として招待する
- 契約終了時に、オーナー側の操作で管理者を削除する
- 院内の担当者が交代する場合も、オーナーは医療機関側に残す
なお、新しく追加されたオーナー・管理者には7日間の制限期間があり、プロフィールの削除やメインオーナー権限の譲渡といった操作が制限されます。移行を予定しているときは、この期間を見込んでスケジュールを組んでください。
承認フローは「誰が最後に読むか」で決まる
代行会社の品質管理体制を聞いても、比較できる答えは返ってきません。確認すべきは工程です。
- 公開前に医療機関側が文面を読む工程があるか
- 読む人が院内で決まっているか(事務長、広報担当など)
- 差し戻しの手段があるか
- 緊急時に医療機関側が単独で投稿を取り下げられるか
最後の項目は権限設計と連動します。管理者権限を持つ院内アカウントがあれば、代行会社の対応を待たずに取り下げができます。
契約書で明確にしておくこと
- 権限の所在。オーナーは医療機関、代行会社は管理者と明記する
- 承認の要否。投稿・口コミ返信・写真追加のそれぞれについて、事前承認が必要か明記する
- 禁止事項。体験談の転載、治療前後の写真の無説明での掲載、最上級表現、口コミへの謝礼提供を禁止事項として列挙する
- 責任分担。ガイドライン違反が生じた場合の是正義務と費用負担を定める
- 記録の保存と開示。投稿内容と実施日の記録を保存し、医療機関の求めに応じて開示する
- 終了時の引き継ぎ。管理者権限の返上、作成物の取扱い、記録の引き渡しを定める
これらは特別な条項ではありませんが、定型の運用代行契約書には入っていないことが多い項目です。
よくある質問
代行会社にオーナー権限を渡してしまっています
まず、院内のアカウントがオーナーとして登録されているか確認してください。登録されていない場合は、現在のオーナーにオーナー権限の追加を依頼します。追加後、代行会社側の権限を管理者に変更するか削除します。追加直後は操作に制限がかかる期間があるため、契約更新の直前ではなく余裕をもって着手してください。
医療広告等ガイドラインは改正されたと聞きましたが、何が変わりましたか
令和8年3月30日に最終改正が行われています。本記事は改正後の指針本文を参照していますが、改正点の詳細と自院の表示への影響については、指針本文と所管の保健所の見解をあわせて確認してください。公開前の監修時に、この点を確認項目に含めることを推奨します。
口コミへの返信も広告規制の対象になりますか
返信は医療機関名のもとに公開される表示であり、内容によっては広告該当性の3要件を満たします。診療内容や効果に踏み込む返信は避け、来院への謝意と手続きの案内に留めるのが実務的です。個別の判断は監修者に確認してください。
運用代行を使わず院内で回すことはできますか
できます。情報の更新と口コミ返信が中心であれば、院内の担当者と管理者権限で運用している医療機関もあります。委託が必要になるのは、投稿の継続的な作成や複数拠点の一括管理など、工数がまとまって発生する場合です。委託の要否は、月あたりに発生する作業量で判断してください。
代行会社の提案に「口コミ◯件保証」とあります
獲得件数の保証は、達成手段として謝礼や割引を伴う依頼、関係者による投稿が想定されます。いずれもGoogleのポリシーで禁止または制限されている行為です。手段を具体的に確認し、説明が得られない場合は契約しない判断が妥当です。
本記事の手順・仕様は2026年9月時点のものです。Googleの仕様は変更されることがあります。
2ヶ月完全無料+コンサル伴走支援つき
LocalBuzzは、口コミの依頼から返信までをLINEとAIで支える店舗向けツールです。返信文の下書き生成、返信漏れの検知、業種別テンプレートを標準で用意しています。
フォームや電話が手間な方は LINEで相談する
あわせて読みたい
クリニックのMEO対策で注意すべき法令|医療広告規制との境界
MEOの一般的な解説記事をそのまま医療機関に当てはめると、ほぼ確実にどこかで医療広告規制に触れます。写真を増やす、症例を載せる、他院より優れている点を書く。どれ
クリニックが体験談を掲載できない理由|医療広告ガイドラインの規定
「患者さんから良い感想をいただいたので、サイトに載せたい」という相談は、医療機関のウェブ担当者から繰り返し出てきます。他業種では当たり前の施策が、医療機関では使
歯科医院の口コミ返信で守る3つの制約|広告規制と守秘義務
歯科医院の口コミ返信は、一般の店舗と同じようには書けません。「〇〇の治療でお越しいただき」と書いた一文が、医療広告規制と守秘義務の両方に関わります。返信欄はプロ
Magazine


