クリニックのMEO対策で注意すべき法令|医療広告規制との境界
MEOの一般的な解説記事をそのまま医療機関に当てはめると、ほぼ確実にどこかで医療広告規制に触れます。写真を増やす、症例を載せる、他院より優れている点を書く。どれも他業種では推奨され…

目次 7 SECTIONS
- ビジネスプロフィールに医院自身が書く情報は、広告の3要件を満たすため医療広告規制の対象として扱うのが前提になる。
- 治療前後の写真、体験談の引用、他院との比較表現は、MEO施策の一環であっても禁止される広告の類型に触れうる。
- 代行会社に委託する場合も、広告の主体は医療機関側に残るため、記載内容の最終確認は院内で行う必要がある。
MEOの一般的な解説記事をそのまま医療機関に当てはめると、ほぼ確実にどこかで医療広告規制に触れます。写真を増やす、症例を載せる、他院より優れている点を書く。どれも他業種では推奨される施策ですが、医療機関では禁止される広告の類型に直接あたるものが混ざっています。ここで整理するのは、MEOの施策メニューのうちどれが医療広告規制の射程に入るのか、そして代行会社に任せた場合に責任がどこに残るのか、という2点です。
ビジネスプロフィールの記載は「広告」なのか
医療広告ガイドラインは、医療広告に該当するかどうかを次の3要件で判断するとしています。
- 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
- 医業等を提供する者の氏名・名称、または病院、診療所若しくはオンライン診療受診施設の名称が特定可能であること(特定性)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する内容であること
医院がオーナー確認を行い、自ら入力したビジネス名、説明文、サービス内容、写真、投稿は、この3要件をすべて満たすと考えるのが自然です。患者を集める目的で医院名を明示して診療内容を書いているのですから、誘引性も特定性も争いにくい。したがって、ビジネスプロフィールは「Googleの機能」である前に「医院が出している広告の一種」として設計する必要があります。
これは制約であると同時に、判断の軸を単純にしてくれます。自院ウェブサイトに載せられない表現は、ビジネスプロフィールにも載せられない。この一本の基準で、施策のかなりの部分を仕分けられます。
禁止される広告の類型
ガイドラインが挙げる禁止広告の類型は次のとおりです。MEOの現場で問題になりやすいものを併記します。
- 虚偽広告(内容が虚偽にわたる広告)── 実績や診療実態と異なる記載
- 比較優良広告(他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告)── 「地域No.1」「県内最多の症例数」といった表現
- 誇大広告── 効果を断定的に示す表現、根拠のない「痛くない」等
- 公序良俗に反する内容の広告
- 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談
- 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等── いわゆるビフォーアフター写真
- 広告可能事項以外の広告
ビジネスプロフィールの写真欄に施術前後の比較画像を載せる、投稿機能で症例紹介を行う、説明文に「地域で最も選ばれています」と書く。いずれもMEOの解説記事では推奨されがちな施策ですが、医療機関では上記に該当する可能性があります。
広告可能事項の限定解除について
医療法は広告可能な事項を限定していますが、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等については、一定の要件を満たす場合に限定が解除される仕組みがあります。医療広告ガイドライン第3-3「広告可能事項の限定解除の要件等」がその要件を定めています。
自院ウェブサイトについてはこの枠組みで運用している医療機関が多いはずですが、ビジネスプロフィールが同じ扱いになるかは、表示のされ方(検索結果に受動的に表示される面がある)を踏まえた個別判断になります。本記事では要件の逐語引用を行っていません。適用の可否は、ガイドライン第3-3の本文にあたったうえで判断してください。
MEO施策ごとの注意点
| 施策 | 医療機関での注意点 | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| ビジネス名の設定 | 診療科名や地域名を足さず、実際に使用している医院名のみ。Googleは実際のビジネスの名称を使用するよう求めている | Googleビジネス情報ガイドライン |
| カテゴリ選択 | 「事業に何が含まれるか」ではなく「事業が何であるか」で選ぶ。標榜していない診療科のカテゴリは追加しない | Googleビジネス情報ガイドライン/医療法上の標榜規制 |
| 説明文 | 他院との比較、効果の断定、体験談の引用を入れない | 医療広告ガイドライン(比較優良広告・誇大広告・体験談) |
| 写真 | 施術前後の比較写真は、誤認させるおそれがある治療前後の写真等に該当しうる | 医療広告ガイドライン |
| 投稿機能 | 症例紹介、キャンペーン的な表現は広告として審査対象になると考える | 医療広告ガイドライン |
| 口コミの収集 | 内容を指定した依頼は誘引性を生じさせる。特典との交換はGoogleが禁止 | ガイドラインQ&A Q1-18/Googleの禁止コンテンツ |
| 口コミへの返信 | 来院事実や治療内容に触れない。返信文は医院の表示 | 個人情報の取扱いに関する医療分野のガイダンス |
| 口コミの自院サイト転載 | 治療内容・効果に関する体験談は自院サイト掲載分が広告に該当する | 医療広告ガイドライン |
口コミとランキング掲載の扱い
第三者が運営する口コミサイトへの体験談の掲載は、ガイドラインによれば、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、広告に該当しません。Q&AのQ2-11も同旨です。逆に言えば、掲載料を払って載せてもらった時点で、その掲載は医院の広告になります。
ランキング形式の紹介については、Q&AのQ2-10が「ランキングサイトを装って、医療機関の口コミ(体験談)等に基づき、医療機関にランキングを付すなど、特定の医療機関を強調している場合は、比較優良広告に該当する可能性があり、広告できません」としています。MEO関連のサービスで「掲載枠」を提案されたときに、この点は確認しておく価値があります。
また、令和5年10月1日から、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示が景品表示法上の不当表示として規制されています。医院が依頼して書かれた口コミや紹介記事が、第三者の自主的な表示に見える形で出ている場合、医療広告規制とは別にこちらの規制の対象になりえます。
代行会社に任せる場合の確認事項
委託しても、広告の主体は医療機関側に残ります。行政指導の宛先は医院です。前提として、次の点を契約前に確認してください。
- 医療広告ガイドラインを踏まえた運用ができるか ── 事例解説書(第6版、令和8年3月30日事務連絡)に目を通しているかを聞くのが早い
- 投稿・説明文・写真の事前承認フローがあるか ── 医院の確認なしに公開される運用になっていないか
- オーナー権限を医院側が保持できるか ── 代行会社がオーナー、医院が管理者という構成だと、契約終了時に引き継げない事態が起きる
- 口コミ収集の方法 ── 特典との交換や内容を指定した依頼を提案してくる場合は、その時点で見送りの判断材料になる
- 成果の定義 ── 「順位保証」を掲げる業者は、Googleが順位決定の全要因を公開していない以上、根拠を説明できないはずです
- 医療広告の最終責任の所在を契約書に明記しているか
私たちが医療機関の支援に入る範囲では、院内で最終確認する担当者を1名決めておく運用がいちばん事故が少ないと感じています。確認の負荷そのものは、承認対象を「公開前の新規記載」に限れば月に数回程度に収まります。
よくある質問
ビジネスプロフィールは広告に当たるのですか。
医院自身が入力する情報については、広告の3要件(誘引性・特定性・医業等に関する内容)を満たすと考えるのが自然です。ガイドラインがビジネスプロフィールを名指しで定義しているわけではありませんが、自院ウェブサイトと同じ基準で内容を点検する運用が安全側の判断になります。
施術前後の写真は一切載せられませんか。
ガイドラインが禁止しているのは、治療等の内容又は効果について患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等です。通常必要となる治療内容、費用、リスク・副作用等の情報が併記されているかどうかが判断に影響します。ビジネスプロフィールの写真欄はそうした説明を併記しにくい場所であるため、掲載を見送るか、掲載可否を個別に確認することをおすすめします。
「地域で評判のクリニック」という表現は使えますか。
他院と比較して優良である旨を示す表現は比較優良広告として禁止されています。「評判」「人気」といった語は、客観的な根拠を示せない限り誇大広告としても問題になりえます。標榜している診療科と提供している診療内容を具体的に書くほうが、規制の面でも患者の判断材料としても適切です。
患者からの口コミが医療広告規制に違反することはありますか。
患者が自発的に投稿した口コミは、医療機関の誘引性が認められない限り広告に該当しません。ただし、医院が肯定的な内容を指定して依頼した場合は誘引性が生じるとQ&A Q1-18が示しており、その口コミが治療内容や効果に関する体験談であれば、禁止される体験談広告として問題になりえます。
代行会社に任せていれば、医院は責任を負わないのですか。
広告の主体は医療機関です。委託契約があっても、掲載内容について指導の対象になるのは医院側だと考えてください。公開前の確認フローを院内に残しておくことが、実務上の防御になります。
本記事の手順・仕様は2026年9月時点のものです。Googleの仕様は変更されることがあります。
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